無線LANについて
最近WI-FI5から6への移行が進んでいます。先日、面白いことがわかりましたので、その報告も兼ねての記事となります。当たり前のことも多いですが、始めてご覧になる方あるかと思います。まとめておきます。
①無線LANルーター等は公称よりも遅い。
これは知っている人は知っている情報ですね。無線LANの機器は最大通信速度を型番や売り文句にしているものが多いです。でも、通常は半分から3分の2程度の速度しか出ないです。
これは無線LAN機器が対応している周波数ごとに通信がされており、実際にはその周波数ごとの通信しかできないためです。つまり、最大10000の速度があるとして、6Ghz帯で5000、5Ghz帯で3000、2.5Ghz帯で2000となり、実際の最大速度は6Ghz帯の5000、ということになります。
パッケージをよく見るとそれぞれの周波数帯での最高速度が書かれています。実際の最高速度は接続最大数やネットの混み具合などでもっと遅くなります。
②無線LAN機器の最大接続数は意外と少ない。
無線機器を購入する際、最大接続数を見て購入することが多いと思います。しかし、現在はインターネットやIoTの時代。家庭内の冷蔵庫や掃除ロボット、ガスや電気のメーター等までがインターネットに対応しています。気づくと最大接続数を超えた機器が家の中にある、というのはよくあることです。
そのため、機器が能力を超えた通信要求をさばけないことがよくあります。これは企業内のネットワークでも珍しくありません。
ネットワークが遅いな、と思ったら一度接続している機器を確認してみることをオススメします。
また、上記のように気づかない、または忘れがちな機器があります。無線LANルーターやアクセスポイント購入の際には接続可能な機器の台数にはかなりの余裕を持って選択しましょう。
③無線LAN機器は有線が意外と遅いことがある。
特に安価な無線LAN機器に多いのですが、無線機能に対して優先機能が貧弱な場合が多いです。かくいう私も自宅で無線LANのアクセスポイントを安価に導入しました。1333Mbps対応ですから有線も1Gbpsに対応していると思い込んでいたのですが、なんと有線は100Mbpsにしか対応していませんでした。
これは極端な例ですが、無線機能が3200にもかかわらず、有線が1000(1Gbps)の場合、事実上1000の速度しか出ないというのは珍しくありません。
データ量の多い業務の場合、またはゲーム用途の場合などは有線の速度も一定以上が望ましいです。その場合は2.5Gbps以上の接続端子をWANとLAN両方に持っている機種を選択されるとよいでしょう。
④ハイエンド機器以外は、WAN、LAN両方の速度が早い機種はない。
これは当たり前なことですが、LANが高速であっても、WANが低速であればインターネットは遅くなります。
逆もまたしかりですから、WAN、LANそれぞれが適切な速度である必要があります。
なお、2024年現在で、5万円台前半でWAN、LANが両方高速(10Gbps)な無線LANルーターを購入することが可能です。(国産でなければもっと安価です)
2024年現在、インターネットの一般的な速度は光接続の1Gbpsかと思われます。より高速な接続としては2.5Gbpsや5Gbps、10Gbpsなどがあります。
⑤意外と早い? 新型WI-FI
今回、WI-FI5の無線LAN機器をお使いのお客様に、動作検証用のWI-FI6の機器をお貸ししたところ、今までの環境では数時間かかっていた送信があっという間に終わったそうな。
これについては上記無線LAN機器の最大接続数を超えていた可能性もあるのですが、一般にWI-FIの数字が大きくなると最大接続速度だけでなく、ほかの速度も速くなる可能性があります。
接続の方法が新しくなった場合、細かい部分が高速化されているため、速度の底上げがされている場合があります。そのため、たとえカタログ数値上は変わらなくても実質的な接続速度が向上する可能性は高いです。
⑥電波の干渉や混雑について
電子レンジなどが無線LANに影響する(2.4GHz)のはよく言われますが、周辺の無線LANが混雑していると思うような速度が出ないことがあります。従来は2.4GHzが混雑していたのですが、最近は5GHzもよく使われていますので、混雑していることが多いかも知れません。そんな場合、混雑していない新しい周波数帯を使うのもひとつの方法です。これがwifi6E(Eは拡張、ExtendedE)の強いところで、今まで無線機器が少なかった周波数帯ということで、かなり快適に使えそうですね。
⑦セキュリティも強化
wifiも数字が進むごとにセキュリティも進化しています。昔はwpa無印だったものがwpa2→wpa3のように進化しています。数年ごとにwifiルーターを買い替える、というのはセキュリティの点でもよい方法です。なお、wpa2が複数選択できる場合はwpa2(aAES)の方がよいということです。このときに、特に仕事で使っている場合は古いルーターはそのまま保管しておくと、予備としてちょうどよいです。なにせ、そのままつなげば動作するはずなので。
⑧有線やインターネット回線が早くないとあまり意味がない。
wifiが早くなっても、基本的にはインターネット速度以上にはなりません。つまり、1Gbps回線なら1000Mbpsです。ですから、4800Mbpsとかの無線LANを使ってもインターネットからのダウンロードは早くなりません。また、有線のLANは安定した速度が出ますが、インターネット回線や無線LANは周辺の混雑状況にも左右されます。そんなわけで、無理に早いwi-fiルーターを買うよりはインターネット回線を早くするのが賢いと言えます。
理論上のwifi最高速度
wifi3(11g)まではストリーム数等のが意念がない。また、g/nより古い無線LAN(11Mbps以下)はほぼつかわれていない。
ストリーム数はおおよそアンテナの数に一致しており、アンテナが少ないとストリーム数も少なくなる。
そのため、一般のルーターでは最高でも11.5Gbps程度の速度が限界かと思われている。
名称 | 規格 | 周波数 | チャネル | 理論速度 | ストリーム数 | 最大速度 |
Wifi1 | 802.11 | 2.4GHz | 1ch | 2Mbps | – | 2Mbps |
Wifi2 | 802.11b | 2.4GHz | 1ch | 11Mbps | – | 11Mbps |
802.11a | 5GHz | 1ch | 54Mbps | – | 54Mbps | |
Wifi3 | 802.11g | 2.4/5GHz | 1ch | 54Mbps | – | 54Mbps |
Wifi4 | 802.11n | 2.4/5GHz | 1ch | 72.2Mbps | 4 | 289Mbps |
2ch (40MHz) | 150Mbps | 600Mbps | ||||
Wifi5 | 802.11ac | 5GHz | 1ch | 86.7Mbps | 8 | 694Mbps |
2ch (40MHz) | 200Mbps | 1.6Gbps | ||||
4ch (80MHz) | 433Mbps | 3.5Gbps | ||||
8ch (160MHz) | 867Mbps | 6.9Gbps | ||||
Wifi6 | 802.11ax | 2.4/5GHz | 1ch | 143Mbps | 8 | 1.1Gbps |
2ch (40MHz) | 287Mbps | 2.3Gbps | ||||
4ch (80MHz) | 600Mbps | 4.8Gbps | ||||
8ch (160MHz) | 1.2Gbps | 9.6Gbps | ||||
Wifi6 | 802.11ax | +6GHz | 8ch (160MHz) | 1.2Gbps | 8 | 9.6Gbps |
Wifi7 | 802.11be | 2.4/5/6GHz | 8ch (320MHz) | 2.875Gbps | 16 | 46.0Gbps |