レーザー彫刻機を買いました。
マイナー(?)なメーカーでACMERというところです。
機種はS1 6Wというものです。
私が選んだ理由はぶっちゃけ、安かったから。
中華系の通販サイトということもあり、かなり安価に購入出来ました。結果オーライで、安い割には精度が高く、出力も高いそうです。やった!
改造などもしやすい一方、サポートなどが弱く中級者以上向けだそうな(笑)。
使うときの手手順はこんな感じです。
①CADデータをDXFにする。
②Inkspaceにレーザー彫刻機用のGコード変換のプラグインを入れてGコードにする。
③機械に素材をセットし、LaserGRBLでレーザー彫刻機に転送する(加工する)。
④品物を確認し、必要であれば再加工。
という流れなんですね(有償ソフトを使わない場合)。
ここで面白いのが、LaserGRBLが工作機械の標準命令であるGコードで動く、ということ。
なるほどねえ。
命令 通常工作機械 レーザー加工機
M3 工具回転開始 レーザーon
M5 工具回転停止 レーザーoff
G90 絶対座標指令 絶対座標指令
G92 加工原点指示 加工原点指示
G00 移動指令 移動指令
G01 切削指令 加工指令
S 回転数指示 出力指示
F 送り速度指示 送り速度指示
面白いのが$Hなど、独特のコマンドがあることです。これはホームポジション、原点復帰コマンドです。
その一方で、サブプログラムなどの機能がないなど、独特な感じがしますね。
昔取ったなんとやら、である程度動かせるのは面白いのですが、たまたま用意した材料が非常に小さくて、機械の基準点を探るのが大変でした(笑)。材料が小さすぎて、かなり精密に合わせないとだめなのですね。
ところで、レーザーには大きく二種類あり、ガス系と半導体系で、それぞれいくつかの種類に分かれます。
ガス系はCO2とそのほかいろいろですが、代表的なのはCO2レーザー。比較的安価ですが、個人が手を出すにはちょっとつらい。非金属全体に強い。光は赤外線、IR。
ガス系レーザーは、ユニットが消耗品なのが痛いところです。安価な機種の場合は、レーザーユニットの補充がきくかを確認しないと怖いです。
半導体系はダイオードレーザーとファイバーレーザーとに分かれ、ダイオードレーザーは青系、ファイバーレーザーは緑から赤外線、UVなど様々です。といってもファイバーレーザーもダイオードを使っているので、広い意味ではダイオードレーザーの一種と言えそうですね。
それぞれ光の種類が違うので、対応する材料も違います。
金属加工ならファイバーレーザーが多く、高出力の非金属ならCO2、安価なものならダイオード、といったイメージでしょうか。それぞれの物質には色があったりして、レーザー光の吸収率が違うため、吸収率の高いレーザーを使う必要があります。
その意味では、冒頭で言っていた「家庭用の低出力ダイオードレーザーで金属加工」は無謀に近いことがお分かりいただけるでしょうか。表面の色調を換えたりする、エッチング的な加工は可能ですが、切断は事実上不可能、というのが一般的な認識です。
現在、私は幾度かの試行の結果、加工自体は困難ではあっても不可能ではない。非効率ではあっても、一応可能、という結論に達しましたが、加工速度を通常の数十分の一にして、さらに回数を重ねる必要があります。
しかし、加工速度があまり遅いと熱を持ってしまい、形状が崩れたりします。そんなわけで、回数を重ねながら最適条件を探っています。
あ、加工しているのはもちろん薄板ですよ。
中小、零細がレーザー加工機を買うときのチェックポイント
最後に個人や中小、零細企業がレーザー加工機をを買う場合のポイントを紹介。
①基本的にダイオードレーザーを選択する。
高効率で、消耗品が少なく、価格も安いからです。ただし、特定のものを加工しなくてはならない場合は、ファイバーレーザーやガス系レーザーを選択する必要があるかもしれまあせん。
②スポット径(レーザー光の直径)が小さく、出力が大きいものを選択する。
スポット径が小さいほど、レーザーの出力が集中して実質出力が高まります。
また、スポット径が小さければそれだけ精密な加工ができます。
出力が高ければそれだけ早く、深い加工が可能です。
あと、スポット径がタテヨコとも同じなら真円ですから、なおよいですね。
③PCやスマホに強い人がいない場合はあきらめるのが無難。
結局のところソフトウエアもハードウエアも使うのである程度の人材が必要です。ただし、この機会にPCやスマホを勉強するのも、もちろんありです。
④専用ソフト以外でも汎用ソフトが使えること、互換性が高いこと。
いわゆる工作機械や3Dプリンタもそうですが、最近では規格に合わせて安く、簡単に作 られるようになっています。そのため、安価なマシンでも互換性が高く修理もしやすいことが多いです。逆にカスタマイズなどをがっちりやっていると、その分修理がたいへんになる可能性すらあります。
⑤可能なら保護カバー(ケース)、エアアシスト、排気システム、ハニカムボードなどを同時に揃える。
エアアシストは、加工で発生するガス等でレーザーユニットのレンズが汚れたりするのを防ぐことができます。ハニカムボードは底面となる机等を保護するのに必要です。
エアアシストは、水槽用空気ポンプなどでもなんとかなるということで、私もそうしました。レーザーユニットの保護カバーに穴をあけ、そこにエアーホースを固定します。
保護カバーがなくても、保護メガネをかけたりすればよいのですが、あったほうがもちろんよいです。
⑥機械の大きさは、最初は大きさにこだわらない。
レーザー加工機は、その能力に対して安価な機械です。しかし、業務によっては出番が少ない場合もあるでしょう。その一方で、ほかの機械にはできない加工ができます。
ですから、最初は目の前の加工ができる機械でよいと思います。それで、その力や使い方が自分たちにあっているかを確かめてから大きな機械を導入しても遅くはないと思います。
レーザー加工機では薄板を加工することが多く、風などの影響を受けたりします。意外と場所をとる機械ですよ。
比較的軽い機械ですから、動かすことはしやすいですが、ぶつけたりしたらすぐにゆがみます。やはり、基本的には据え置きがよいでしょう。
レーザー加工機も、今後は先読み予測による加速制御などが出てくるでしょう。それを汎用企画の中で実現できる企業があれば、頭一つ飛び出すのでしょうね。