PCとワークステーションの違い

 先日、開業に向けて仕事用PCを組み立てました。

 ワークステーションではありません。単純に予算の問題です(涙)。しかし、昔と違い現在ではワークステーションとPCの違いは小さくなっています。今回はセキュリティについては私も詳しいわけではないのでおいておきます。

 基本的にはメモリがECC対応であるかどうか、またそれに対応したマザーボードであるかどうかであって、あとはGPUがプロ向けのものであるかどうか、です。

 ここで大事なのは、必要なソフトウエアのほとんどの要件はグラフィックやCADであればOpenGLへの対応であることです。つまり、プロ用のグラフィックボードやECCメモリは絶対に必要ではないのです。

そこで一般のPCで性能がよいものをCADやCG用に使うことが考えられます。

 デメリットもないわけではありません。ワークステーションとPCの違いの大きな部分は信頼性です。ワークステーションで使うECCメモリはエラーが起きにくいものですし、プロ用のGPUもそのように作られています。また、プロ用のGPUは特定のソフトであれば通常のGPUより高速なこともあります。

 さらにワークステーションのよいところは、業務用ソフトで検証されていることが多い、ということにあります。特にCADやCGのソフトではプロ用のグラフィックボード以外ではサポートしない、などということも珍しくありません。

 しかし、同価格帯で比べた場合、プロ用のグラフィックボードは性能が劣ります。これは、プロ用に信頼性をあげたりしているのですから当たり前です。価格対性能比で考えると多くの場合は一般用のグラフィックボードのほうが有利なのです。

 同価格帯の場合、プロ向けでは使われているGPUの世代が古いことも多いです。開発に時間がかかるためかもしれませんが、とにかくコストパフォーマンスで考えるとプロ用は不利なわけですね。

 また、純粋な処理能力で考えても、最新の一般向けのCPUのi7等では8コア16スレッドとなっていますが、この性能は数年前のワークステーションではCPUを二つ搭載したときと同等のものです。

 実際にやってみればわかりますが、不具合は滅多にありません。私は2000年ごろからこの方法で職場のPCやワークステーションの費用を抑えてきていますが、記憶に残るような重大な問題はありません。

 1990年代からPCに触れてきている私ですが、実際にメモリに起因すると思われるエラーは1度か2度しかありません。

 また、サポートしないといいつつも実際には動作するソフトが多いようです。指定されているプロ用GPUとメーカーや世代が同等であれば一般向けのものでもほとんどの場合不具合なく動きます。中には特定のバージョンのグラフィックドライバでないと異常な動作をする、などというソフトもありましたが……。

 ただ、気を付けてほしいのは信頼性というのは重要だ、ということです。私がこの記事で考えているのは、基本的に毎日数時間使用して、電源を切ることができる一般的な仕事のためのものです。医療や軍事、防衛向けのように特に信頼性が必要な仕事は考えていません。

 例えば、シミュレーションや解析などでは極端に長い時間がかかる作業があります。1週間の間計算が続くような場合は、私が考えているような信頼性では対応できないのです。エラーの可能性が仮に8時間につき1パーセントあるとすると、24時間連続すると1.01の三乗ですから単純に考えて2パーセント以上エラーの可能性は上昇します。

 1週間続くとすればエラーの可能性は23パーセントとなります。

 実際に業務で考えてみればわかりますが、1日の仕事が無駄になればそれを取り戻すためにはもう1日が必要になるわけで、1パーセントのエラー率であれば1年に2、3回は発生するということになります。やってられません。

 医療、軍事、防衛であればこれらは限りなくゼロに近いことが求められます。実際に調べてみればわかりますが、医療、軍事といった用途は想定しない、というのが一般向けの製品です。当たり前ですが、プロ用といわれるのにはそれだけの裏付けがある、ということです。

 しかしながらそれだけの信頼性を必要とする業務がどれだけあるか、というとほとんどの場合はないと思います。多くの設計業務ではデータの自動保存もありますし、数時間エラーが出なければ問題ないことがほとんどでしょう。

 というか、業務でエラーが起きる場合はハードウエアよりソフトウエア、ソフトウエアよりは扱うデータに問題があることがほとんどです。データによっては数分おきにハングアップするようなものをバックアップなどを頼りに作業を進める、などということもあります。信頼性も大事ですが、コストと性能も大事です。

 そんなわけで、私が中小企業や個人事業主の業務にオススメする構成は比較的高性能なPCに高性能なGPUを組みあわせることです。可能であればプロ向けのミドルクラスGPUを選択したいところですね。しかしながら今回(開業時)は予算の問題もあり一般向けのグラフィックボードとなりました。

 具体的なスペックはまたの機会に譲りますが、4年前のハイエンドPCやワークステーションに匹敵、またはそれを超える性能となっています。もっとも、ちょうどこのころからPC性能の急激な向上が起こっているので当たり前なのですが。

 当分はこのPCで仕事をこなしていきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA