CAD作業を早くする① CAD操作の手順

 CAD作業のみならず、PCでの作業というのはコマンド選択、画面移動、コマンド実行待ち時間の繰り返しです。

 これを早くする場合、まず当たり前のことは操作をしっかり覚え、迷いをなくすこと。自分が何をしたいのかを明確にし、それはどのコマンドで実行できるのかを考えることです。私の経験してきたCAD/CAMは片手の指では足りない数になりましたが、どれも一定のルールがありました。一つを覚えれば、ある程度はほかのシステムでもその知識は使えるものです。

 次のアプローチは二種類考えられます。一つはコマンドの実行そのものを早くする方法。もう一つはコマンドの回数を減らすことです。

 これはそれぞれ相反する要素があるのですが、まず最初のコマンドの実行そのものを早くするには簡単な形状を積み上げるようにしていくことが考えられます。この場合ソリッドモデリングを考えるとわかりやすいと思います。

 ソリッドモデリングでは、一般に一つのスケッチで一つの形状を作ります。この時の形状は比較的単純な形状であることが推薦されます。この理由の一つは「単純なスケッチのほうがエラーが発生しにくい」ことで、バラメトリックのシステムで履歴を使って形状変更するような場合にも比較的強いことも理由に挙げることができます。

 まさに簡単な形を積み上げていく方法であって、一つ一つのコマンドの実行に迷いが生じにくく、早く実行できる方法といえるでしょう。

 もう一つの方法は、完全に逆のアプローチになりますが、一つのコマンドでより多くの形状を作成したりする考え方です。こちらは、例えば軸モノなどを考えるとわかりやすいですが回転体を作る際にはスケッチは比較的複雑でもエラーが発生しにくいことが多いので、そのような場合は積極的に一つのスケッチを複雑にしてもよいでしょう。

 また、例えば補助線などの要素を一つ作り、それをそのあとの多くの形状作成に参照できるようにしてコマンドを減らす、ということも可能です。

 ほかにも、いわゆる論理演算、和とか差についても、どちらで最終形状を作るかで変わってくることも多いです。和、差、シェルなどはそういった応用が効きやすいコマンドですね。

 それから大事なのはコマンドをどのように組み合わせて必要な形状を作っていくかの見通しを立てることです。いきあたりばったりではなく、こうしたらこうなる、という見込みを持ってやっていく必要があります。

 先ほど書いた補助線を使いまわす件ですが、たとえばSOLIDWORKSではお気に入りという機能があり、スケッチをここに登録すると通常は作成したフィーチャーに隠れてしまうスケッチを簡単に使うことができる機能があります。

 また、ほかのシステムでもスケッチのもととなる平面を変更することによって一つのスケッチを使いまわしたりできる場合があります。バラメトリックでないシステムではレイヤーによって要素を整理することが多いと思いますからレイヤーの名前などをわかりやすい名前にするなどでも効率は上がることでしょう。

 CADの操作は同じ結果になるとしても複数の操作や手順とコマンドがあるのが普通です。最適なコマンドがどれかというのは大事なことですが、それ以上にお勧めしたいのは全体のコマンドをまんべんなく覚えるのではなく、特定の自分が使いやすいコマンドを使いこなすことです。

 複数のコマンドで同じ結果が得られるのであれば、使い慣れたコマンドのほうが早いのは当然のことです。各コマンドにはいろいろなオプションがあるのが普通ですから、いろいろなコマンドの全てを覚えるのは無理というもの。それよりは頼りになる、自分がメインとして使っていくコマンドに習熟したほうがよいのではないかと思います。

 ただし、会社のマニュアルなどで決まっている場合はそれに従いましょう。これはデータの互換性や、あとに作業する人の作業性などにも関わってきます。特に履歴を残して作業する場合、あとから設計変更したい場合などの作業性は、同じやり方でやったほうがよいに決まっています。各自が別々のやりかたでやっていると、データのでき方も違ってきますので同じ職場では同じやり方が基本的には望ましいのです。

 もし自分が見つけた方法のほうが効率的だと思う場合は職場にそのように提案し、検討してもらった上でマニュアルに掲載してもらいましょう。

 なお、こんなことを言う加藤自身はCADの操作が早いほうではありません。純粋なCADオペレーターとしてはむしろ遅いほうでしょう。ですが、純粋な操作が遅かったとしてもいろいろな工夫でなんとかなることも多いのです。基本的な考え方を述べた上で、次の記事でからは実践的な内容や工夫を書いていきます。

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